屋久島「白谷雲水峡から縄文杉」1日で回るルートを完全ガイド

屋久島「白谷雲水峡から縄文杉」1日で回るルートを完全ガイド

屋久島に来る90%以上の人が訪れるという、樹齢7200年の「縄文杉」と、映画もののけ姫の舞台にもなった「白谷雲水峡」の屋久島2大スポット。

だいたいの方は2日間にわけて、この2つの場所を訪れる。そうすると最低でも3泊4日は屋久島に滞在しなければいけない。しかし、忙しく生きる現代人にとって4日間の休みは取りにくいもの。
※最終日に白谷雲水峡トレッキングを持ってきたら、もしかしたらギリギリ2泊3日で帰れるかもしれません

でもご安心を。実は白谷雲水峡と縄文杉を1日で巡るルートがあります。

あまり知られていないが、このルートを辿ると2大人気スポットを1日のトレッキングで回ることができ、そうすると2泊3日で帰宅することも可能だ。

実際、私も2泊3日で屋久島を訪れた。そのときのスケジュールは以下。
1日目:屋久島へ移動。レンタカーで島内1周。
2日目:白谷雲水峡と縄文杉トレッキング
3日目:帰宅。

なので、今回は白谷雲水峡から縄文杉を1日で回るルートを詳細にご紹介します。

白谷雲水峡〜縄文杉1日ルートの注意点

今回、ご紹介する白谷雲水峡と縄文杉を1日で回るルートはあまり知られていない。

なぜなら単純にめちゃくちゃハードだから。

まずこのルートは山道を約20km(正確には19.8km)歩く。舗装された道路を20kmでも十分しんどいのに、高低差のある山道を20kmはハッキリ言って地獄を味わうことを覚悟しなければいけないレベルだろう。

所要時間もべらぼうに長く、平均的に約12時間かかると言われている。こういった理由から、このいばら道のようなルートは一部の屈強な登山マニアしか選ばないコースだ。

しかし、ちゃんと準備をしておけば登山素人でも完登できる可能性は十分にある。実際、日頃運動をまったくしない私でも無事ゴールにたどり着けた。

なので、ここでは素人でもなるべく完登できるように登山前の準備や注意点をいくつかご紹介します。

【注意点1】テーピングを用意しておく
20kmもの山道を歩くと、どうしても膝などの関節部分、ふくらはぎ、太ももあたりに疲労が溜まってくる。それをいくぶん楽にしてくれるのがテーピング。

私は登山前、登山中にテーピングをしたおかげで関節の可動域を制限し、なんとかゴールまでたどり着いた。

以下は登山後の私の脚。痛くなる箇所に応じてテーピングをした結果こうなった。

屋久島「白谷雲水峡から縄文杉」1日で回るルートを完全ガイド

ちなみに登山用のテーピングの巻き方は以下の本をおすすめする。

 
【注意点2】十分な食料を用意しておく
20kmもの山道ではすぐに腹が減る。体感的には3時間ごとに和菓子を食べていた。

なので、前日に市街地にあるスーパーでパンやおにぎり、和菓子などすぐに食べられる食料を3点ほど購入して、プラス弁当を用意することをおすすめする。

私は前日にAコープ宮之浦店で串団子、塩大福、どらやきを購入した。

弁当は朝4時くらいからホテルに宅配してくれる業者があるので、宿泊しているホテルに予約してもらってください。

ちなみに水は500mlペットボトルを2本持って行った。2本で足りるわけがなく途中、川や湧き水から4回補充した。

【注意点3】先に縄文杉から巡る
1日で縄文杉と白谷雲水峡を巡るコースは2通りある。「白谷雲水峡から先に巡って縄文杉へ向かうコース」と「縄文杉から先に巡って白谷雲水峡へ向かうコース」だ。

私は前者を選んだが、これが失敗。

どうしても2つを1日で回るには朝早くに出発しないといけないので、登山開始1〜2時間は真っ暗闇の中をライトを照らして歩くことになる。レンタルした手持ちライトは2m先くらいまでしか照らしてくれない。

その明るさだと岩場を上り下りする白谷雲水峡の前半部分は非常に進路が分かりづらい。ここで私は道に迷った。

行ったことのある方なら分かると思うが、川の中を歩いた先にベンチがある場所がある。その先の上り道で何度も迷ってしまった。

2〜3度挑戦してラチがあかなかったので、少し明るくなるまで30分ほどベンチに座って待っていた。

下手すると遭難しかけになるので、これから行く方は縄文杉(荒川登山口からスタート)から先に巡ることをおすすめする。

この記事では白谷雲水峡から先に巡るコースを紹介しているが、順路を逆にすればいいだけなので参考にしてほしい。

【注意点4】晴れていてもレインウェアを持っていく
山の天気は変わりやすい。市街地が晴れていても山ではすぐに天候が変わる。

夏であっても激しい雨に打たれたら低体温症になりかねない。そうならないためにレインウェアは持っていこう。宮之浦、安房のレンタルショップで簡単にレンタルできる。

【注意点5】登山グッズはレンタルでOK
宮之浦、安房に登山グッズのレンタルショップが数カ所かあるので、そこで登山に必要なものはすべて借りればOK。事前に準備するものは下に着る衣類くらい。

私が借りたアイテムは登山靴、レインウェア上下、リュック、手持ち用ライト。ちなみに利用した店は「レンタルの山下」というところ。ハイシーズンだと事前に予約しておいた方がいいかも。

あと手持ち用ライトの電池が途中で切れた場合、スマホの背面ライトを使おう。スマホも意外と明るい。

【注意点6】擦れる衣類は身に着けない
12時間も歩くのだから、擦れる服を着ていると擦れている部分がめちゃくちゃ痛くなる。なるべく身体にフィットした衣類を身に着けよう。特に男性は股擦れ防止のためトランクスより、ボクサーパンツやブリーフをおすすめする。

白谷雲水峡〜縄文杉1日ルートの完全ガイド

では、1日ルートを順路ごとにご紹介します。なお、登山途中に撮った写真も随所に載せているので、屋久島の雄大さも感じて頂ければです。

ちなみに私が訪れたのは2021年3月12日の大雨の日です。この日は出発からゴールまで雨が降っていました。そして、ゴールしてから晴れるという皮肉付き笑

宿出発→白谷広場

宮之浦の宿を出発したのは朝4時ちょうど。宿の人にこのくらいに出ないと間に合わないと言われたため。

4時だとバスがまだ運行していないのでタクシーを前日に依頼した。1日で2つ巡るコースだとタクシーで現地入りがデフォルトらしい。

タクシーは「まつばんだタクシー」という会社を利用した。「屋久島交通タクシー」という会社もあったが、3日前に連絡したら満車と言われたのでハイシーズンは早めに予約しておいた方がいい。

私の宿がある宮之浦から約20分ほどで白谷雲水峡コースの登山口「白谷広場」に到着した。値段は3,000〜5,000円ほどで行ける。

ちなみに縄文杉から巡る方は、縄文杉コースの登山口「荒川登山口」から近い安房エリアで宿泊することをおすすめする。宮之浦からだとタクシーで1時間ほど、料金は12,000〜15,000円ほどかかると言われた。

 
白河広場に着くとちょっと怖気ついた。なんせ真っ暗だし大雨。下車したあとタクシーが去っていくのがすごく心細かった。小屋みたいなところは自動でライトが付くのでここで出発前の身支度をしましょう。ちなみにトイレはちょっと離れた場所にあった。

白谷広場→太鼓岩

レインウェアを羽織ったりと軽く身支度をしたり、トイレを済ませて白谷広場を出発したのが4時半

はじめの1時間から1時間半は暗闇の中を突き進む。だけど白谷雲水峡の前半コースは手持ちライトだけだとちょっと分かりづらい。なので初めての方は縄文杉から巡るコースをおすすめする。

そして開始早々、災難が。
途中でメガネを落として行方不明になったのだ。

雨、暗闇、メガネなしの三重苦の中で迷いかけたので途中にあったベンチで明るくなるまで30分ほど待った。そしてあまりに暗くて恐怖しかなかったのでiPhoneでEDMを音量MAXにして聴いていた笑

また途中にある白谷小屋はマジで幽霊が出そうな雰囲気だったのでトイレをするか悩んだ。

少し夜が明けて登山再開。しばらくすると「苔むす森」にたどり着いた。

もののけ姫のモデルになった場所だ。

夜明けで誰もいない苔むす森は本当に神秘的で荘厳な雰囲気が漂っていた。しばし、瞑想したらここが夢なのか現実なのか見失いそうになった。

ついでなので、苔むす森の周辺写真をいくつか載せておきます。

ふと妖精が現れても不思議じゃない雰囲気の場所だ。

苔だらけの杉もたくさん見かけた。

ちなみに道はこんな感じ。ギリ人が歩けそうな道。そりゃ真っ暗だと迷うわ。

しばらく進むと以下の標識が立っているので、まずは「太鼓岩」から向かおう。またこの地点に戻ってくるので、それから「楠川分かれ(くすがわわかれ)」に向かう。

7時半頃に太鼓岩に到着。白谷広場からちょうど2時間ほどだ。途中休憩なければ1時間半で行くことも可能。

この頃になると完全に夜は明けていた。ただ強風すぎて岩の上に座っていると凍え死にそうになったので1分ほどで退散。

太鼓岩→楠川分かれ

次に目指すのは「楠川分かれ」という縄文杉コースに合流するポイント。楠川分かれから縄文杉へ向かうことができる。

途中、「辻の岩屋」という映画『もののけ姫』に出てくるモロー族の住む岩屋のモデルになった場所を通った。

苔岩が乱立する登山道。

屋久島は名もない木々がいちいち絵になる。

やや日が差すときもあったが基本小雨。でも雨が降った方が苔がより深く緑に染まるので綺麗。

ちなみに順路は一定間隔ごとに木にピンクテープが巻かれているので、それを目指すだけで大丈夫だ。ちょっと分かりづらいテープもあったが。

また大きな分かれ道では標識も立っていたので一人での登山でも大丈夫。

ひたすら突き進む。やはり空気の澄んでいる朝からの登山は気持ちがいい。

8時36分に楠川別かれに到着。太鼓岩から約1時間かかった。

楠川分かれ→大株歩道入口

縄文杉へは楠川別かれを出て、右のトロッコ道へ進みましょう。左へ進むと荒川登山口に着いてしまう。

ここからはしばらくトロッコ道なので楽だけど結構歩く。

ひたすら一直線の道も。

9時43分「大株歩道入口」に到着。ここでトロッコ道は終わり。トロッコ道を背に右にある階段から縄文杉への登山道がスタートする。

左の橋は違う道なので行かないように注意しましょう。

大株歩道入口→縄文杉

ここから名のある杉が続々と登場する。以下は「仁王杉」

以下は樹齢2000年ほどの「翁杉」だが、残念ながら2010年に倒木し、今は根元が残るのみ。

10時5分「ウィルソン杉」に到着。

ウィルソン杉は、切株の中に入って上を向くとハート型に見えることで有名だ。ただし、角度が大切。切株に入って右側からしゃがんで見るとハート型に見える。

登山道には標識も立ってあるので初心者でも安心。このあたりになると縄文杉コースの観光客とバッティングするので周りに登山客は多くなるでしょう。

とにかく階段が多いので日頃、運動不足の私には超ハードだった。

途中、水がなくなったら川で補充しましょう。川の水は森で浄化された不純物の少ない水なので飲める。

11時40分「縄文杉」へ到着。登山開始から7時間10分。長かったし結構疲れたと感じた。

でも、この雄大な縄文杉を見たら、一瞬だけ疲れが吹き飛んだ。樹齢7200年とも言われている縄文杉は不思議なオーラをまとった杉でした。おそらく30分ほど見上げていたかな。

縄文杉→荒川登山口

縄文杉を堪能したあとは荒川登山口まで戻らなければいけない。ここからは縄文杉コースの帰り道を歩くことになる。

もうすでに7時間ぶっ通しで歩いてきたので全身の筋肉が悲鳴を上げていた。けど歩くしかない。

大株歩道入口にたどり着いたのは13時27分。途中、弁当を食べたので少し時間がかかってしまった。

まぁ、とりあえず一番つらい登山道である大株歩道が終了したことにはホッとした。

ここから先は荒川登山口までずっと平坦なトロッコ道が続く。正直めちゃくちゃ長い。

楠川分かれに到着したのは14時25分。ここまでは来た道を戻っただけ。ここから先は雲水峡方面に戻らず、そのままトロッコ道を進む。以下の画像方面に行ってはダメ。

ちなみに、ここから先は結構見どころがある。

洞窟を歩いたり。

朽ち果てたトロッコのエンジンが放置されてあったり。

柵のない橋があったり。ここは真夜中渡る人は気をつけましょう。

もし余裕があれば、トロッコ道の上にハート型の穴がある場所があったので、ぜひ探してほしい。

あと途中にあるこのバイオトイレはぜひ行ってみてほしい。

2007年に阪急交通社が寄贈したこのバイオトイレは、糞尿をオガクズに保水させ加熱し、
スクリューで攪拌し、蒸発させて残った固形物を微生物分解するという仕組み。ここまで分解すると肥料にも使えるとのこと。

初めて見るとオカクズが大量のう○こかなと思って結構びっくりします。匂いはまったくの無臭。

小杉谷小・中学校跡まで来れば後もう少し。

ここは1970年まで屋久杉伐採の拠点だった小杉谷集落があり、最盛期には133世帯540人が暮らしていた。

そして、15時50分ようやく「荒川登山口」に到着!!!!

登山開始からの所要時間は11時間20分なので、運動不足&普通体型の男性で約12時間かかるということを実証した。

ちなみに登山に慣れてる人なら10時間ほどでゴールするらしい。

あとは荒川登山口で帰りの路線バスを待つ。このときスタッフに声をかけ、帰りのバスチケットを購入しましょう。この1日コースは荒川登山口からの最終バスを調べて、それに間に合うように計画しましょう。

ちなみに途中、屋久杉自然館バス停で乗り換えがあった。

白谷雲水峡から縄文杉1日ルートの完全ガイドまとめ

あくまで今回紹介したのは「白谷雲水峡から先に巡って縄文杉に向かうコース」だ。

何度も伝えているが、経験者である私が薦めるのは「先に縄文杉を巡って白谷雲水峡に向かうコース」だ。そちらの方が朝早くの真っ暗闇の登山部分がはるかに安全だからだ。

もし先に縄文杉を巡るコースなら今回、紹介したコースを逆にするだけでOK。

具体的には以下の順路だ。
荒川登山口→大株歩道入口→縄文杉→大株歩道入口→楠川分かれから雲水峡方面へ→太鼓岩→白谷広場

最後に白谷雲水峡から縄文杉1日ルートをまとめると以下になります。
・めちゃくちゃハード(フルマラソンよりはやや楽かも)
・縄文杉から先に巡るコースがおすすめ
・ジブリの世界を堪能できる

この記事を書いた人:食王
食王プロフィール
世界中のご当地グルメを発掘・ご紹介するべく日夜、どこかしらへ旅に出ている美食ハンター兼ライター。今まで雑誌・食系サイトなど各媒体でご紹介した美食はおよそ500以上。このサイトのコンセプトは“本物の美食を紹介する”こと。ですので、この料理を取材してほしいなどあれば、お問い合わせよりお気軽にご連絡ください。
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